蜂を見分ける知識より大切なことは遭遇時の安全行動
これまで、様々なスズメバチの種類や見分け方についてお話ししてきました。オオスズメバチの大きさ、キイロスズメバチの攻撃性、アシナガバチとの違い。これらの知識は確かに、蜂という存在を理解する上で役立ちます。しかし、私たちが実生活で蜂に遭遇した時、最も優先すべきことは何でしょうか。それは、蜂の種類を特定することではありません。何よりもまず、自分自身の安全を確保することです。蜂の種類を見分けようと近づいたり、巣をまじまじと観察したりする行為は、蜂を刺激し、攻撃を誘発する大変危険な行動です。どんなにおとなしいとされる種類の蜂であっても、巣や仲間を守るためには攻撃的になります。したがって、蜂に遭遇した際の鉄則は、まず「静かに、ゆっくりとその場を離れる」ことです。大声を出したり、手で払ったりする動作は厳禁です。蜂は黒い色や素早い動きに反応しやすいと言われています。また、香水やヘアスプレーなどの強い匂いも蜂を興奮させることがあるため、野山に出かける際は注意が必要です。もし自宅の敷地内など、生活に支障が出る場所に巣が作られてしまった場合は、自分で駆除しようなどとは考えず、速やかに自治体や専門の駆除業者に相談してください。その際、電話で「蜂の見た目の特徴」や「巣の場所、大きさ」を伝えることができれば、専門家はより的確な判断を下すことができます。スズメバチに関する知識は、危険を察知し、それを回避するための「お守り」です。知識を過信して危険な行動を取るのではなく、常に安全第一を心がけることこそが、最良の自己防衛策となるのです。