てんとう虫に似た姿で私たちを惑わせるテントウムシダマシ類。その中でも、特に家庭菜園や畑で問題となるのが「ニジュウヤホシテントウ」とその近縁種です。彼らは益虫であるてんとう虫とは異なり、農作物に被害を与える害虫として知られています。今回は、この注意すべき昆虫、ニジュウヤホシテントウの生態と対策について詳しく見ていきましょう。ニジュウヤホシテントウは、コウチュウ目テントウムシ科に属する昆虫ですが、テントウムシ亜科ではなく、マダラテントウ亜科に分類されます。成虫の体長は6~7ミリメートル程度で、赤褐色または黄褐色の地に、名前の通り28個(実際には個体差あり)の黒い斑点があります。本物のてんとう虫との大きな違いは、体表に光沢がなく、短い黄褐色の毛で覆われている点です。成虫は春から秋にかけて活動し、特にナス科の植物(ナス、ジャガイモ、トマト、ピーマンなど)を好んで食害します。葉の表面を削り取るように食べるため、被害を受けた葉は、葉脈を残して白っぽく網目状になるのが特徴的です。この独特の食害痕は、ニジュウヤホシテントウの被害を見分ける重要な手がかりとなります。幼虫もまた、成虫と同様に植物の葉を食害します。幼虫は黄色っぽい体に黒いトゲトゲが生えたような、少しグロテスクな姿をしています。卵は黄色い俵型で、葉の裏などに数十個ずつまとめて産み付けられます。卵から成虫になるまでの期間は、環境条件にもよりますが、約1ヶ月程度です。年に数世代を繰り返すため、対策を怠ると短期間で個体数が増加し、被害が拡大する可能性があります。対策としては、まず成虫や幼虫を見つけ次第、捕殺することが基本です。特に家庭菜園など小規模な栽培では、手作業での駆除が有効です。数が多くて手に負えない場合は、登録のある農薬(殺虫剤)を使用します。薬剤を使用する際は、対象作物や使用時期、使用方法を守ることが重要です。また、ナス科の雑草なども発生源となることがあるため、畑や庭の周りの除草を適切に行うことも予防につながります。ニジュウヤホシテントウは、てんとう虫に似た外見に油断していると、思わぬ被害を受ける可能性があります。その生態を理解し、早期発見と適切な対策を心がけましょう。