念願だったマイホーム。ピカピカの新築一戸建てが完成し、家族みんなで喜びを分かち合ったあの日から数ヶ月。理想の暮らしが始まったはずでした。清潔なキッチン、広々としたリビング、子供たちの笑い声…すべてが輝いて見えました。しかし、その幸福感はある夜、突然打ち砕かれたのです。深夜、喉が渇いてキッチンへ向かい、電気をつけた瞬間、シンクの隅をササッと横切る黒い影。一瞬、自分の目を疑いました。まさか…ゴキブリ?新築の、この家に?頭が真っ白になり、心臓が激しく波打ちました。見間違いであってほしいと願いながらも、床や壁を凝視しましたが、もうその姿はありませんでした。しかし、あの動き、あの色は、紛れもなくゴキブリの特徴と一致していました。その夜はもう眠れませんでした。「なぜ?どうして新築なのに?」という疑問と、言いようのない不快感、そして裏切られたような気持ちが渦巻きました。翌日から、私のゴキブリ探しが始まりました。キッチンの隅、冷蔵庫の裏、食器棚の中…考えられる場所を全てチェックしましたが、姿は見えません。しかし、数日後、今度は洗面所で再び遭遇。もう見間違いではありません。我が家には確実にゴキブリがいる。この事実を受け止めなければなりませんでした。私はすぐさまドラッグストアに走り、あらゆるゴキブリ駆除グッズを買い込みました。殺虫スプレー、ベイト剤、粘着シート…。家中に対策グッズを仕掛け、神経質なくらい掃除を繰り返しました。しかし、それでも時折、彼らの姿を見かけるのです。どこから侵入しているのか、どこに巣があるのか、全く見当がつきません。新築の家が、まるで汚染されてしまったかのような感覚に陥り、精神的にもかなり参ってしまいました。家族も私のピリピリした様子に気を遣い、家の雰囲気もどこかぎこちなくなってしまいました。もう自力では限界だと感じた私は、ついに専門の駆除業者に相談することにしました。調査の結果、隣接する空き家からの侵入と、建築時に持ち込まれた可能性のある卵が原因ではないかとのこと。プロによる徹底的な駆除と侵入経路の封鎖作業が行われ、ようやく我が家に平穏が戻りました。あの恐怖体験は、新築であってもゴキブリのリスクはゼロではないこと、そして早期の専門的な対策がいかに重要かを、身をもって教えてくれました。
夢の新築一戸建てに黒い影恐怖の体験
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