シミ(紙魚)は、人間にとって直接的な害はないものの、その食性から、私たちの身の回りにある大切な物に被害を与えることがあります。特に、紙製品や衣類はシミの好物であり、気づかないうちに損害を受けてしまうケースも少なくありません。ここでは、シミによる被害を未然に防ぎ、大切な本や服を守るための具体的な対策についてご紹介します。まず、書籍や書類などの紙製品を守るための対策です。シミは本の装丁に使われる糊や、紙自体に含まれるセルロースを好んで食べます。被害としては、本の表面を舐めるように削り取ったり、ページに不規則な穴を開けたりします。これを防ぐには、本棚や書類棚を常に清潔に保つことが基本です。定期的に本を取り出し、棚と本のホコリを払いましょう。特に、長期間読まない本は、シミにとって格好の隠れ家となります。時々、本の状態を確認し、風を通すことも有効です。湿度管理も重要で、本棚の近くに除湿剤を置いたり、部屋全体の湿度が高くならないように換気や除湿機を活用したりしましょう。市販の書籍用防虫剤や防虫シートを利用するのも効果的です。次に、衣類を守るための対策です。シミは、綿、麻、レーヨンなどの天然繊維や化学繊維、そして衣類に使われる糊や汗のシミなども食べることがあります。特に、クリーニングから戻ってきた衣類をビニール袋に入れたまま保管したり、汚れたままの衣類を長期間放置したりすると、湿気がこもり、シミを呼び寄せる原因となります。衣替えの際は、衣類を洗濯またはクリーニングして汚れを完全に落とし、よく乾燥させてから収納しましょう。収納ケースやクローゼットには、防虫剤と除湿剤を一緒に入れるのが効果的です。防虫剤は、衣類の上に置くと成分が下に広がりやすいため、置き方にも注意しましょう。衣類を詰め込みすぎず、風通しを良くすることも大切です。壁紙やふすま、障子なども、糊が使われているためシミの被害に遭うことがあります。壁際や隅にホコリが溜まらないようにこまめに掃除し、剥がれかかっている箇所があれば早めに補修しましょう。これらの対策は、シミだけでなく、他の害虫やカビの発生を防ぐ効果もあります。日頃から整理整頓と清掃、湿度管理を心がけることが、大切な持ち物を様々な劣化要因から守るための鍵となるのです。
大切な本や服を守るシミ被害対策マニュアル