アリとの遭遇我が家のキッチン占拠事件

それはある夏の朝のことでした。いつものようにキッチンに立ち、コーヒーを淹れようとした瞬間、目に飛び込んできた光景に私は凍りつきました。シンク周りから壁を伝い、砂糖の容器に向かって、黒い小さなアリたちが整然と行列を作っていたのです。「まさか!」と思わず声が出ました。我が家はマンションの中層階。これまでアリとは無縁の生活を送っていただけに、ショックは大きいものでした。どこから入ってきたのか見当もつかず、ただただ呆然とその行列を眺めてしまいました。よく見ると、アリたちは非常に小さく、おそらくヒメアリと呼ばれる種類ではないかと思われました。とにかく、まずはこの行列を何とかしなければなりません。慌ててティッシュで拭き取りましたが、拭いても拭いても後から次々と現れます。まるで無限ループです。根本的な対策が必要だと悟り、インターネットで情報を検索しました。どうやら、アリは道しるべフェロモンを残すため、ただ拭き取るだけではダメらしい。アルコールスプレーや洗剤を使って、アリが通ったであろう経路を徹底的に拭き上げる必要があるとのこと。早速、キッチン用のアルコールスプレーを片手に、シンク周りから壁、床まで、考えられる経路をくまなく拭き掃除しました。砂糖の容器はもちろん、他の調味料や食品もすべてチェックし、密閉容器に移し替えました。ゴミ箱もきれいに洗い、蓋がしっかり閉まることを確認。侵入経路を探ろうと窓際や壁の隅々まで見てみましたが、明確な隙間は見つけられませんでした。おそらく、サッシの本当にわずかな隙間から入ってきたのでしょう。その日は一日中、アリが再び現れないか気が気ではありませんでした。幸い、徹底的な掃除と食品管理が功を奏したのか、翌日以降、キッチンであのアリの行列を見ることはなくなりました。しかし、この一件以来、私は食べ物の管理には以前にも増して神経質になりました。床に何かこぼしたらすぐに拭き取る、ゴミは溜めずにこまめに捨てる、食品は必ず密閉する。あのアリたちの無言の行進は、私に家を清潔に保つことの重要性を改めて教えてくれた、忘れられない出来事となったのです。


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