まさか我が家のベランダに、あんな大きな蜂の巣ができるなんて、想像もしていませんでした。春先、洗濯物を干している時に、たまにアシナガバチが一匹、ふらふらと飛んでいるのを見かけることはありました。「まあ、一匹くらいなら大丈夫だろう」と、特に気に留めていなかったのです。それが全ての油断の始まりでした。春が過ぎ、夏が近づくにつれて、ベランダで見かける蜂の数が増えてきました。最初は2、3匹だったのが、5匹、10匹と、明らかに数が増えている。そして、ある日、エアコンの室外機の裏をふと見ると、そこにはソフトボール大にまで成長した、立派なアシナガバチの巣があったのです。無数の蜂が巣の周りをうごめき、羽音を立てています。背筋が凍る思いでした。すぐに窓を閉め、ベランダへの出入りを禁止しました。洗濯物は部屋干しになり、ベランダで育てていたハーブも放置状態。日常生活に大きな支障が出始めました。どうしようかとインターネットで調べると、巣が大きくなると自力での駆除は非常に危険だと書いてあります。ましてや、狭いベランダでの作業は、逃げ場もなくリスクが高い。怖気づいた私は、結局、専門の駆除業者に依頼することにしました。電話で見積もりを依頼し、来てもらった業者の方に見てもらうと、「これは結構大きくなっていますね。もう少し早ければ、もっと簡単に対処できたんですが…」と言われてしまいました。駆除費用も、やはりそれなりの金額になりました。作業当日、防護服に身を包んだ作業員の方が、手際よく巣を駆除していく様子を、私は部屋の中から固唾を飲んで見守っていました。無事に駆除が終わり、業者の方が去った後、がらんとしたベランダを見て、心から安堵すると同時に、深い後悔の念に襲われました。あの春先、一匹の蜂を見かけた時に、なぜもっと注意を払わなかったのだろう。なぜ、予防のスプレーを撒くとか、室外機の周りを点検するとか、簡単な対策を怠ってしまったのだろう。あの時、少しの手間をかけていれば、こんな怖い思いも、余計な出費もせずに済んだはずなのに。「まだ大丈夫だろう」という甘い考えが、結果的に大きなリスクと負担を招いてしまったのです。この経験以来、私は春になると必ず家の周りを点検し、予防スプレーを撒くようになりました。蜂の巣予防の大切さを、身をもって、そして痛い出費と共に学んだ出来事でした。
あの時やっておけば蜂の巣予防を怠った私
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