あのマンションはこうして鳩被害を克服した

都心に建つ築15年の中規模マンション「グリーンハイツ」(仮名)。数年前、このマンションは深刻な鳩被害に悩まされていました。当初、管理組合は住民各自での対策に任せていましたが、個々の対策では効果が限定的で、被害は一向に収まりませんでした。ある住民がネットを設置すれば、隣のベランダに鳩が移動する、といった具合で、根本的な解決には至らなかったのです。そこで、管理組合はマンション全体での統一的な対策に乗り出すことを決議しました。まず、専門家を招き、マンション全体の被害状況を調査。鳩が特に集中している箇所や、侵入・営巣しやすい構造上の問題点を洗い出しました。その結果、最上階の軒下の構造や、エアコン配管用の穴の隙間などが、鳩の侵入や巣作りを助長していることが判明しました。調査結果に基づき、管理組合は複数の対策を組み合わせた総合的な計画を立案しました。第一に、鳩の侵入を物理的に防ぐため、被害が集中していた上層階のベランダ前面と、建物の構造上、鳩が入り込みやすかった共用部分の開口部に、目立ちにくい色の防鳥ネットを設置しました。これは専門業者に依頼し、美観を損ねないよう慎重に施工されました。第二に、手すりや配管の上など、鳩が止まりやすい箇所には、ステンレス製の剣山(ピン)を設置しました。これも業者による施工で、隙間なく設置することで、鳩が足を下ろす場所を徹底的になくしました。第三に、住民への啓発活動です。管理組合から全戸に対し、ベランダに物を置かない、餌になるようなものを放置しない、糞を見つけたらすぐに清掃・消毒するといった協力依頼のチラシを配布しました。マンション全体で鳩が住みにくい環境を作る意識を高めることが目的でした。第四に、定期的な点検とメンテナンス体制の構築です。ネットや剣山の設置状況を定期的に確認し、破損などがあれば速やかに修繕する仕組みを整えました。これらの対策を実施した結果、数ヶ月後にはマンションから鳩の姿はほとんど見られなくなりました。糞害や騒音の苦情もなくなり、住民は安心して生活できる環境を取り戻すことができたのです。グリーンハイツの事例は、鳩被害対策には、個々の努力だけでなく、建物全体での状況把握と、物理的対策、環境整備、そして住民の協力という多角的なアプローチが不可欠であることを示しています。


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