お風呂場で虫を見かけると、つい殺虫剤に手が伸びてしまいますが、実はその虫の発生原因が「カビ」にあるケースは少なくありません。浴室は湿度が高く、カビが非常に繁殖しやすい環境です。そして、そのカビを餌とする虫、例えばトビムシやチャタテムシなどが集まってきてしまうのです。つまり、カビを放置することは、虫を呼び寄せ、さらにその虫の死骸や糞が新たな汚れとなり、カビの栄養源となる…という悪循環を生み出しかねません。この悪循環を断ち切るためには、カビと虫の両方にアプローチする徹底的な掃除術が不可欠です。まず、目に見えるカビを徹底的に除去することから始めます。壁や天井、タイルの目地、ゴムパッキン、シャンプーボトルの底、風呂椅子の裏などは特にカビが生えやすい場所です。市販のカビ取り剤を使用し、製品の指示に従ってカビを除去します。塩素系のカビ取り剤は効果が高いですが、使用する際は必ず換気を良くし、ゴム手袋やマスク、メガネを着用して、薬剤が皮膚や目にかからないように注意が必要です。酸性タイプの洗剤と混ぜると有毒ガスが発生するため、絶対に併用しないでください。カビ取りが終わったら、次は虫の餌となる可能性のある汚れ全般を除去します。皮脂汚れや石鹸カスは、浴室用の中性洗剤やアルカリ性洗剤(重曹やセスキ炭酸ソーダなど)を使ってブラシでこすり落とします。排水口のカバーやヘアキャッチャーは毎日掃除し、髪の毛やヌメリを取り除きましょう。排水口内部も定期的にパイプクリーナーなどを使って洗浄します。浴槽のエプロン(カバー)が外せるタイプであれば、定期的に外して内部を清掃することも重要です。エプロン内部はカビや汚れが溜まりやすく、虫の温床となりやすい場所です。掃除が終わったら、それで終わりではありません。カビと虫の再発を防ぐためには、予防策が何よりも重要です。入浴後は壁や床の水滴をスクイージーやタオルで拭き取り、浴室全体の湿度を下げます。換気扇を最低でも2~3時間、できれば24時間回し続けるなどして、常に換気を心がけましょう。市販の防カビ剤(燻煙タイプやスプレータイプなど)を定期的に使用するのも効果的です。このように、カビの除去と予防、そして虫の餌となる汚れの清掃を徹底することで、カビと虫の悪循環を断ち切り、清潔で快適な浴室環境を維持することができるのです。