忘れもしない、あれは一人暮らしを始めて最初の夏のことでした。私の住んでいたアパートは洗濯機置き場がベランダにあり、中古で購入した洗濯機をそこに設置していました。日当たりは良いものの、隣の部屋との仕切り壁の近くで、少しジメッとした場所でした。ある夜、洗濯物を干そうとベランダに出た瞬間、足元で黒い何かがサッと動いたのです。「…!」心臓が跳ね上がりました。スマートフォンのライトで照らすと、それは紛れもないゴキブリでした。しかも一匹ではありません。洗濯機の排水ホースのあたりに、数匹が蠢いていたのです。全身の血の気が引きました。慌てて殺虫剤を取りに戻り、恐怖に震える手でスプレーを噴射しました。ゴキブリたちは散り散りに逃げていきましたが、そのうちの数匹は洗濯機の下や裏側へと消えていきました。「まさか、洗濯機の中に…?」最悪の想像が頭をよぎりました。その夜は怖くて洗濯機に近づけず、翌朝、恐る恐る洗濯機の蓋を開けてみました。幸い、洗濯槽の中に姿はありませんでしたが、洗濯機の裏側を覗き込むと、数匹の死骸が転がっていました。そして、排水ホースと壁の隙間や、洗濯機本体の裏側にある通気口のような部分に、ゴキブリが侵入できそうな隙間があることに気づきました。ここから出入りしていたのか…!私はすぐさま対策に取り掛かりました。まず、洗濯機周りを徹底的に掃除し、ゴキブリの死骸を処理。次に、ホームセンターで隙間を埋めるパテと、排水ホース用の防虫キャップを購入しました。汗だくになりながら、怪しい隙間という隙間をパテで塞ぎ、排水ホースの先端にキャップを取り付けました。さらに、洗濯機周りにゴキブリ忌避剤を置き、ベイト剤(毒餌)も設置しました。それ以来、こまめに洗濯機周りをチェックし、清潔に保つように心がけています。あの恐怖体験から数年経ちますが、幸い、洗濯機周りでゴキブリの姿を見ることはなくなりました。外置き洗濯機は便利ですが、ゴキブリ対策は必須だと痛感した出来事でした。もう二度とあんな思いはしたくありません。