それは、いつものように夕飯の準備をしていた時のことでした。棚の奥から、買い置きしてあった素麺の袋を取り出した瞬間、何か違和感を覚えました。袋の中に、白い素麺とは明らかに違う、小さな茶色い粒がいくつも見えたのです。「ん?ゴミかな?」と思い、袋を振ってみると、その茶色い粒が…動いた!体長3ミリほどの、丸っこい虫でした。慌てて袋の口を固く縛り、ゴミ箱へ直行。そして、恐る恐る他の乾物もチェックしてみることにしました。パスタ、うどん、そば…次々と袋を開けてみると、案の定、いくつかの袋の中に同じ茶色い虫が潜んでいました。中には、麺が粉々になっていたり、虫が這ったような跡があったりするものも。全身から血の気が引くのを感じました。「この虫、一体何なの!?」すぐにスマートフォンで「乾麺 茶色い 小さい 虫」と検索。表示されたのは「シバンムシ」という名前でした。どうやら、イエシバンムシかタバコシバンムシという種類らしく、乾燥食品を好んで食べる害虫とのこと。購入した食品に卵がついていて、家の中で孵化・繁殖することが多いらしいのです。原因が分かったところで、次は駆除です。まずは被害にあった食品を全て廃棄。もったいない気持ちもありましたが、虫がわいたものを食べる気には到底なれませんでした。そして、食品を保管していた棚を空にし、掃除機で隅々まで吸い取り、アルコールスプレーで徹底的に拭き上げました。さらに、残っていた他の乾物類も全てチェックし、密閉性の高い容器に移し替えました。念のため、畳の部屋も掃除機をかけ、市販のくん煙剤も焚いてみました。それから数週間、私は神経質になって家の中をチェックし続けました。幸い、その後、あの茶色い虫の姿を見ることはありませんでしたが、あの時のショックと駆除の手間は忘れられません。この経験以来、乾物は必ず密閉容器に入れること、そして長期間保存しすぎないことを徹底するようになりました。たかが小さい虫と侮ってはいけませんね。食品管理の大切さを痛感した、ほろ苦い体験でした。