もし、自宅でネズミのフンらしきものを一個だけ発見した場合、パニックにならず、冷静に適切な初期対応を行うことが重要です。その一個が、今後の被害拡大を防ぐための重要な手がかりとなるかもしれません。まず最初に行うべきことは、発見したフンの処理と清掃・消毒です。ネズミのフンには、様々な病原菌が付着している可能性があるため、絶対に素手で触らないでください。ゴム手袋や使い捨ての手袋を着用し、ペーパータオルなどでフンをそっと拾い上げ、ビニール袋に入れて口をしっかりと縛って廃棄します。フンがあった場所とその周辺は、アルコール除菌スプレーや次亜塩素酸ナトリウム希釈液(塩素系漂白剤を薄めたもの)などを使って丁寧に拭き取り、消毒しましょう。フンが乾燥している場合、ホウキなどで掃くと菌が舞い上がる可能性があるため、湿らせたペーパータオルなどで拭き取るのが望ましいです。次に、フンが一個だけだったとしても、ネズミが家の中に侵入している可能性を疑い、他の痕跡(ラットサイン)がないかを確認します。ネズミは壁際や隅を移動する習性があるため、部屋の隅、家具の裏、キッチンのシンク下、押し入れの中などを重点的にチェックしましょう。フン以外にも、黒っぽいこすり跡(ラットサイン)、柱や食品、配線などのかじり跡、巣材となりそうな紙や布の切れ端、足跡などが見つからないか、注意深く観察します。特にキッチン周りは、食品の袋に穴が開いていないか、食材が散らばっていないかも確認してください。また、ネズミの侵入経路となりそうな場所を点検することも重要です。壁のひび割れ、配管周りの隙間、換気扇、エアコンの導入部、床下や天井裏への入り口など、わずかな隙間(1.5センチメートル程度あれば侵入可能と言われています)がないか確認しましょう。もし怪しい隙間が見つかったら、一時的にでも金網や金属たわし、パテなどで塞いでおくと良いでしょう。これらの初期対応と調査を行うことで、被害の現状を把握し、今後の本格的な対策(粘着シートや罠の設置、専門業者への相談など)を検討するための基礎情報を得ることができます。