てんとう虫にそっくりな見た目を持ちながら、植物を食い荒らす「テントウムシダマシ」の仲間が存在します。幸い、いくつかの観察ポイントを押さえれば、これらを見分けることは可能です。ここでは、その見分け方のコツをいくつかご紹介します。最も分かりやすい違いの一つが、「体の光沢(ツヤ)」です。一般的なてんとう虫(ナナホシテントウなど)の体は、硬い翅(はね)がワックスで覆われたようにツヤツヤと光っています。一方、害虫であるテントウムシダマシ(ニジュウヤホシテントウなど)の体表には、非常に細かい毛がびっしりと生えているため、光沢がなく、くすんだ、あるいはビロードのようなマットな質感に見えます。太陽の光の下などで観察すると、この光沢の違いは比較的はっきりと分かります。次に注目したいのが、「体毛の有無」です。前述の通り、テントウムシダマシには細かい毛が生えています。肉眼では確認しにくい場合もありますが、もしルーペなどがあれば、観察してみると良いでしょう。てんとう虫には基本的にこのような体毛はありません(一部例外もいますが、一般的に見かける種では少ないです)。さらに、「食性」も重要な見分けるポイントです。てんとう虫の多くは肉食性で、アブラムシやカイガラムシなどを捕食しています。もし、てんとう虫に似た虫が植物の葉の上でじっとしていたり、アブラムシがいる場所で見かけたりした場合は、益虫のてんとう虫である可能性が高いです。一方、テントウムシダマシは草食性で、植物の葉や実を直接食べています。もし、葉をムシャムシャと食べている現場を目撃したら、それはテントウムシダマシである可能性が極めて高いと言えます。特にナス科の植物(ナス、ジャガイモ、トマトなど)やマメ科の植物(インゲンなど)でよく見られます。模様の数(星の数)だけで判断するのは難しい場合があります。例えば、ナナホシテントウは名前の通り星が七つですが、ニジュウヤホシテントウは二十八個の星があります。しかし、他の種類のてんとう虫にはもっと多くの星を持つものもいますし、テントウムシダマシにも星の数が少ない種類もいます。まずは「光沢の有無」と「何を食べているか」を重点的に観察することが、見分けるための最も確実なコツと言えるでしょう。