都市部を中心に、ベランダや軒先での鳩の被害が後を絶ちません。平和の象徴ともされる鳩ですが、一度住み着かれてしまうと、その被害は深刻なものになります。多くの人が「巣ができてから考えよう」と思いがちですが、それは大きな間違いです。鳩の巣は、作らせないための「予防」こそが最も重要であり、効果的な対策なのです。なぜなら、鳩の巣が完成し、卵や雛が生まれてしまうと、事態は格段に複雑化するからです。日本では「鳥獣保護管理法」という法律により、許可なく野鳥の卵や雛を捕獲したり、巣を撤去したりすることが禁じられています。つまり、巣に命が宿った瞬間から、個人の判断で簡単には手出しができなくなるのです。そうなれば、雛が巣立つまでの一ヶ月以上もの間、鳴き声やフンによる被害に耐え続けなければなりません。鳩のフンは、乾燥すると空気中に飛散し、アレルギーや感染症の原因となる病原菌を含んでいる可能性があり、健康被害のリスクも看過できません。また、鳩は非常に執着心の強い鳥です。一度安全な場所だと認識すると、何度追い払っても戻ってきて巣を作ろうとします。巣が完成してしまえば、その場所への執着はさらに強固なものになります。だからこそ、鳩が寄り付き始める初期段階、つまり「ここは巣作りに適していない」と鳩に思わせる予防策が何よりも大切になるのです。物理的に侵入させない、居心地を悪くするなど、先手を打つことで、後々の深刻な被害と法的な制約から自身を守ることができます。