我が家の小さなベランダで家庭菜園を始めて二年目の夏のことです。ミニトマトやナス、ピーマンなどをプランターで育てていたのですが、ある日、ナスの葉にてんとう虫がたくさんついているのを見つけました。赤地に黒い点々、まさにてんとう虫そのものの姿です。「お、アブラムシでも食べてくれてるのかな?ラッキー!」と、当時は何の疑いもなく、むしろ歓迎していました。てんとう虫は益虫だと聞いていましたし、見た目もかわいらしいので、見かけるたびに微笑ましく思っていたのです。数日間、その「てんとう虫」たちはナスの葉の上でのんびりと過ごしているようでした。しかし、ふと気づくと、ナスの葉の表面がなんだか白っぽく、カスれたようになっている部分が増えてきました。最初は病気か、あるいは水のやりすぎかと思ったのですが、よく観察してみると、その「てんとう虫」たちが葉の表面をかじっているようなのです。「え?てんとう虫って葉っぱ食べるんだっけ?」疑問に思い、慌ててスマートフォンで調べてみました。そして愕然としたのです。我が家のナスにいたのは、本物のてんとう虫ではなく、「ニジュウヤホシテントウ」という名前の、テントウムシダマシの仲間だったのです。彼らはナス科の植物を好んで食べる害虫で、葉を食い荒らしてしまうとのこと。見た目がてんとう虫にそっくりなため、益虫と間違えられやすいという情報も。まさに私がその典型的な勘違いをしていたわけです。体のツヤがなく、細かい毛が生えているのが特徴だと書かれていましたが、改めて見てみると、確かに本物のてんとう虫のようなピカピカした光沢はありませんでした。あの時、「かわいい益虫さん、ありがとう」なんて思っていた自分が恥ずかしくなりました。すぐに駆除に取り掛かりましたが、すでに葉はかなり被害を受けていました。この経験を通して、見た目だけで判断してはいけないこと、そして、益虫と害虫をきちんと見分ける知識がいかに大切かを痛感しました。ベランダの小さな家庭菜園での、ほろ苦い教訓となった出来事です。皆さんも、てんとう虫に似た虫を見かけたら、少しだけ注意して観察してみてくださいね。