浴室の床や壁、浴槽の縁などで、白や灰色、黒っぽい色をした非常に小さな虫がピョンピョンと跳ねているのを見かけたことはありませんか。ノミかな?と一瞬思うかもしれませんが、人を刺すわけでもなく、チョウバエとも違う。その正体は「トビムシ」である可能性が高いです。トビムシは体長1ミリから数ミリ程度の小さな昆虫(厳密には昆虫に近い六脚類)で、その名の通り、危険を感じると腹部にある跳躍器を使って高く跳ねることができます。トビムシは基本的に屋外の土壌や落ち葉の下など、湿った環境に生息していますが、家の中でも湿度の高い場所、特に浴室や洗面所、キッチン、観葉植物の土などで発生することがあります。彼らが風呂場に発生する主な原因は、「湿気」と「餌」の存在です。トビムシは乾燥に弱く、ジメジメとした高湿度の環境を好みます。浴室はまさにその条件を満たしやすい場所です。そして、彼らの餌となるのは、主にカビや藻類、有機物の腐敗物などです。浴室の壁や床の隅、排水口周り、浴槽のエプロン裏などに発生したカビや、石鹸カス、皮脂汚れなどが溜まっていると、トビムシにとって格好の餌場となってしまいます。トビムシは人間を刺したり咬んだりすることはなく、病原菌を媒介することもないため、衛生害虫ではありません。しかし、大量発生すると見た目が非常に不快であり、時にアレルギーの原因となる可能性も指摘されています。駆除方法としては、まず物理的な除去が基本です。掃除機で吸い取ったり、シャワーで洗い流したりします。ただし、根本的な解決のためには、発生原因である湿気と餌を取り除くことが不可欠です。浴室の換気を徹底し、湿度を下げるように努めましょう。入浴後は換気扇を長時間回したり、窓を開けたり、浴室乾燥機を使用するのも効果的です。壁や床の水滴を拭き取る習慣もつけましょう。餌となるカビや汚れは、浴室用洗剤とブラシを使ってこまめに掃除し、除去します。特に排水口周りやタイルの目地、エプロン内部などは念入りに清掃しましょう。殺虫剤を使用する場合は、不快害虫用のエアゾール剤などが有効ですが、一時的な効果に留まることが多いため、やはり環境改善が最も重要な対策となります。
ピョンピョン跳ねる小さな虫トビムシ風呂場での原因と駆除