イエシバンムシは、畳の内部にある藁床(わらどこ)を幼虫が食べて成長することができ、畳が発生源となる代表的な害虫の一つです。ここでは、畳に発生するイエシバンムシへの具体的な対策について解説します。まず、畳にイエシバンムシが発生しているサインを見逃さないことが重要です。畳の表面に、針で刺したような小さな穴(直径1~2ミリ程度)が複数開いていたら、それはイエシバンムシの成虫が内部から脱出した跡(虫孔)である可能性が高いです。また、畳の上や畳の縁、畳と壁の間などに、粉状の木くずのようなもの(フラス)が落ちていないかも確認しましょう。そして、畳の上や周辺でイエシバンムシの成虫を見かける頻度が高くなったら、畳内部での発生を疑うべきです。対策の基本は、日常的な清掃です。畳の部屋は、掃除機をこまめにかけることが非常に重要です。特に、畳の目に沿って、ゆっくりと丁寧に掃除機をかけることで、表面にいる成虫や、畳の隙間に潜む虫、ホコリなどを吸い取ることができます。畳の縁や家具の下など、ホコリが溜まりやすい場所は念入りに行いましょう。湿気対策も欠かせません。イエシバンムシは湿度の高い環境を好みます。畳の部屋は定期的に窓を開けて換気し、湿気を溜め込まないようにしましょう。梅雨時などは除湿器を使用するのも効果的です。年に数回、晴れた日に畳を上げて床板を掃除し、畳自体も風に当てる(陰干しが基本ですが、材質によっては短時間の天日干しも有効な場合があります)ことで、湿気を飛ばし、虫が発生しにくい環境を作ることができます。もし、すでにイエシバンムシが発生してしまっている場合は、より積極的な対策が必要です。市販されている畳専用の殺虫剤を使用する方法があります。畳に針を刺して内部に薬剤を注入するタイプや、畳全体に薬剤を噴霧するタイプなどがあります。使用する際は、必ず説明書をよく読み、用法・用量を守って安全に使用してください。また、専門業者による加熱乾燥処理も有効な駆除方法です。畳を高温で処理することにより、内部にいる幼虫や卵を死滅させることができます。被害が深刻な場合や、長年使用している畳の場合は、畳替え(表替えまたは新畳への交換)を検討するのも根本的な解決策となります。その際は、防虫シートを敷くなどの予防策を併せて行うと、より安心です。
畳に潜むシバンムシ徹底対策マニュアル