夏の夜に窓を開けて網戸越しに入ってくる涼しい風を感じながらリビングでくつろいでいた時のこと、ふと首筋に何かが這うような感触があり無意識に手で払いのけたのがすべての間違いであり、その直後から首に熱した鉄を押し当てられたような焼けるような痛みが走り始めました。鏡で見ても最初は少し赤くなっている程度でしたが翌朝になると首にはミミズ腫れのような赤い線がくっきりと浮かび上がり、その上に小さな水ぶくれがいくつも連なっているという異様な光景が広がっており、その痛みと見た目のグロテスクさに私はパニックに陥りすぐに皮膚科を受診しました。診断結果は「線状皮膚炎」であり原因はアオバアリガタハネカクシ通称ヤケドムシと呼ばれる体長7ミリほどの小さな昆虫で、この虫は体液にペデリンという猛毒を持っており、私が手で払った際に虫が潰れてその体液が皮膚に付着し火傷のような化学熱傷を引き起こしたのだと医師から説明されました。この虫の厄介な点は刺すのではなく体液に触れるだけで症状が出るという点であり、網戸の目をすり抜けるほど小さく光に集まる習性があるため夜間の室内に侵入してくることが多く、気づかずに潰してしまうことで被害に遭うケースが後を絶たないそうです。処方されたステロイド軟膏を塗り続けましたがヒリヒリとした痛みは数日間続き、水ぶくれが乾いてかさぶたになり剥がれ落ちるまでには約3週間を要しましたが、その間は首元の開いた服を着ることができず周囲の人に「どうしたの」と聞かれるたびに説明するのも憂鬱でした。医師からは「もし次にこの虫を見つけても絶対に手で潰さず息で吹き飛ばすか紙に乗せて外に出すように」と厳重に注意されましたが、それ以来私は小さな虫が肌に止まるたびに過剰に反応してしまい、夜は窓を閉め切ってエアコンをつける生活に切り替えましたが、あの焼けるような痛みと水ぶくれの恐怖は二度と味わいたくない夏の悪夢です。
ヤケドムシによる線状皮膚炎の激痛と恐怖