「最近、ベランダに見慣れない蜂が飛んでくるんです」。夏になると、私たちのような駆除業者のもとには、こうした相談が数多く寄せられます。そして、その原因の多くを占めるのが、非常に攻撃的で都市環境への適応能力も高いキイロスズメバチです。先日対応したあるお宅では、二階の軒下にバスケットボール大の巣ができていました。依頼主は、巣がこんなに大きくなるまで全く気づかなかったと言います。それもそのはず、キイロスズメバチは巣作りが非常に巧みで、初期段階ではとっくりを逆さにしたような小さな可愛らしい形をしています。しかし、働き蜂が増えるにつれて急速に巣を拡張し、外皮で覆われた球状の巨大な要塞をあっという間に作り上げてしまうのです。彼らの特徴は、その名の通り体全体の黄色みが強いこと、そして些細な刺激にも極めて敏感に反応する神経質な性格です。巣に少し振動が伝わっただけで、中から無数の働き蜂が飛び出してきて、威嚇飛行を始めます。さらに危険なのは、一度敵と認識した相手を執拗に追跡する習性です。庭の手入れや洗濯物を干すといった日常的な行動が、彼らの警戒心を煽る引き金になりかねません。もし、家の周りで黄色っぽい蜂を頻繁に見かけるようになったり、軒下や屋根裏から蜂の羽音が聞こえたりしたら、それはキイロスズメバチが近くに巣を作っているサインかもしれません。初期の巣であれば対処も比較的容易ですが、大きくなった巣は非常に危険です。無理に自分で何とかしようとせず、速やかに専門家へ相談することが、深刻な被害を防ぐための最も賢明な判断と言えるでしょう。