スズメバチの危険を察知する手がかりは、蜂そのものの姿だけではありません。彼らが作る巣の場所や形状は、その種類を特定し、危険度を推し量るための非常に重要な情報源となります。たとえ蜂の姿を直接確認できなくても、巣の特徴を知っておけば、より安全な対策を講じることが可能です。まず注目すべきは、巣が作られている場所です。最強のオオスズメバチは、人目につきにくい土の中や、大木の根元にある空洞といった閉鎖的な空間を好んで巣を作ります。そのため、気づかずに巣の近くを通りかかり、突然の襲撃を受けるケースが多く、非常に危険です。一方で、キイロスズメバチやコガタスズメバチは、軒下や生け垣、木の枝など、比較的開放的な場所にも平気で巣を作ります。特にキイロスズメバチは屋根裏や壁の中といった人家の構造物に入り込むことも得意です。巣の形にも注目しましょう。スズメバチの巣は、基本的に美しいマーブル模様の外皮で覆われた球状になります。ただし、作り始めの初期段階では、とっくりを逆さにしたような形をしていることが多く、この段階で発見できれば比較的安全に対処できます。これに対して、よく見間違われるアシナガバチの巣は、蓮の実やシャワーヘッドのような形で、六角形の部屋がむき出しになっています。この巣の形状の違いは、両者を見分ける決定的なポイントです。もし自宅の敷地内などで不審な巣を見つけた際は、決して近づいたり、棒でつついたりしてはいけません。安全な距離から巣の場所と形状をしっかりと観察し、その情報を基に専門家へ相談することが、最も確実で安全な方法なのです。