大きな蜂を見かけると、私たちはすぐに「オオスズメバチだ」と身構えてしまいがちです。しかし、実際にはオオスズメバチによく似た、コガタスズメバチである場合も少なくありません。この二種類は外見が似ているため混同されやすいのですが、その生態や危険度には明確な違いがあります。見分けるポイントは、まず体の大きさと頭の色です。オオスズメバチの働き蜂が四センチ近くなるのに対し、コガタスズメバチは三センチ弱と一回り小さいのが特徴です。また、頭部の色も異なり、オオスズメバチが全体的にオレンジ色なのに対して、コガタスズメバチは頭頂部が黒く、顔の部分だけが黄色いという違いがあります。性格もオオスズメバチに比べれば比較的温厚とされていますが、もちろん巣に近づけば激しく攻撃してくるため油断は禁物です。さらに、スズメバチの仲間には、夜間にも活動する珍しい習性を持つモンスズメバチや、アシナガバチを専門に狩るヒメスズメバチなども存在します。モンスズメバチは、セミなどを狩るために夜、自動販売機の明かりに集まってくることもあります。ヒメスズメバチは他のスズメバチに比べておとなしいとされますが、これも巣を刺激すれば話は別です。スズメバチという一つの言葉で全てを括るのではなく、こうした多様な種類がいることを知ることは非常に重要です。それぞれの特徴を理解することで、過剰に恐れることなく、より冷静で的確な状況判断が可能になるのです。