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私がゴキブリの幼虫を家で見つけてしまった恐怖体験
あの日の出来事を、私は一生忘れることができないでしょう。それは、一人暮らしを始めて一年が経った、ある夏の夜のことでした。夕食後、キッチンのシンクで洗い物をしていると、視界の隅を黒い小さな何かがサッと横切ったのです。大きさはゴマ粒を少し大きくした程度。動きはとても素早く、あっという間にシンク下の収納棚の隙間に消えていきました。その時は「まあ、小さな虫だろう」と軽く考え、特に気に留めることもありませんでした。しかし、その数日後、今度は洗面所の床で同じような虫に遭遇しました。さすがに気味が悪くなり、スマートフォンで「黒い小さい虫、素早い」と検索をかけました。画面に表示された画像を見て、私は血の気が引くのを感じました。そこに写っていたのは、紛れもなく「ゴキブリの幼虫」でした。しかも、解説には「一匹見たら数十匹はいると思え」という絶望的な一文が添えられていました。その瞬間から、私の平穏な日常は一変しました。部屋にいることが怖くなり、床を歩くたびに何かが足元を這うような幻覚に襲われました。夜、ベッドに入っても、壁や天井に幼虫の影を探してしまい、ほとんど眠ることができませんでした。食事をするのもキッチンに立つのが怖くて、数日間コンビニのお弁当で済ませる有様です。意を決してドラッグストアへ走り、ありとあらゆるゴキブリ対策グッズを買い込みました。くん煙剤を焚き、毒餌を家の隅々に設置し、粘着トラップを仕掛けました。くん煙剤を使った翌日、恐る恐る部屋に入ると、床には数匹の幼虫の死骸が転がっていました。それを見て少し安心したものの、まだどこかに潜んでいるかもしれないという恐怖は消えませんでした。結局、精神的に限界を感じた私は、プロの駆除業者に依頼することにしました。業者の方の調査で、冷蔵庫の裏のモーター部分が巣になっていたことが判明したときの衝撃は、今でも忘れられません。この体験を通して、私はゴキブリの幼虫一匹がもたらす精神的ダメージの大きさと、早期対策の重要性を骨身に沁みて学びました。